アクション・監督・アメリカ、最も挑戦し続けた時
醒拳(クレージーモンキー 大笑拳)
ジャッキー主演と偽った、俗に言うバッタモン映画の代表格。それが日本でも普通に劇場公開されているのが凄いです。当時のジャッキー・チェン人気がいかに凄かったかが分かります。ジャッキーが出演しているのは数シーンで、あとは「笑拳」の未使用カットやジャッキーの代役の俳優を使った“つぎはぎ映画”。しかも普通に見ていても代役と分かるレベル。駄作ゆえにネタとしては評価が高いよう。
「笑拳」を最後にジャッキーとロー・ウェイとの契約は一旦終了していましたが、当時のジャッキー人気の高さゆえ、ロー・ウェイは再度契約を持ちかけました。これまでの義理もあり、若く経験の浅いジャッキーは詐欺まがいの空白の契約書に軽はずみにもサインし、この「醒拳」の契約を結んでしまったようです。しかし、マネージャーのウィリー・チェンは様々な条件から、ジャッキーにふさわしいのはゴールデン・ハーベストだと判断し、ジャッキーはこの「醒拳」の撮影時にゴールデン・ハーベストとも二重の契約を結ぶことになります。ジャッキーは「醒拳」の数シーンを撮影した後、表向きにはドタキャン・失踪した形で、ゴールデン・ハーベストで「ヤング・マスター/師弟出馬」を撮り始めます。当然、ロー・ウェイのほうも黙っているはずはなく、香港映画界に常に付いてまわると言われる黒社会のマフィア「トライアッズ」を使って圧力をかけ、ジャッキーはトライアッズの監視の下、「ヤング・マスター/師弟出馬」と「醒拳」の撮影現場を往復することになります。その間、「ファイナル・ドラゴン」での共演者でその筋に強いジミー・ウォング氏による仲介を試みますがうまくいかず、最終的にはゴールデン・ハーベストがロー・ウェイとジャッキーとの契約を買い取る形で終わらせたようです。その後、ジャッキーはハリウッドに挑戦することになります。「醒拳」の権利はロー・ウェイに残り、彼の意地で完成させた駄作といえるでしょう。
龍騰虎躍/Fearless Hyena Ⅱ/1980年/香港/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/1986年3月8日東映配給
製作総指揮:ロー・ウェイ 製作:シュー・リーホァ 監督:チェン・チュアン
キャスト:ジャッキー・チェン/ディーン・セキ/ヤン・サイクン/クワン・ヤンマン/ジェームズ・ティエン/チェン・ホイロウ/オースティン・ウァイ/ホン・グウォクチョイ/リン・アウチュー
ヤング・マスター/師弟出馬
ゴールデン・ハーベスト社での第1回作品。ジャッキーは、監督・脚本・主演・武術指導に加え、日本公開版では主題歌「さすらいのカンフー」(作詞:湯川れい子 作曲:宇崎竜童)も。この後から主題歌を歌うことが多くなりました。
これまでのカンフー映画の名残を残しながらも、新しいアクションを取り入れ、これまでのカンフー映画とは違う独自のスタイルを築きました。そういう意味では、カンフーものとしては最高傑作かも知れないです。椅子を使ったアクションなど、ユンピョウとの競演も見逃せません!
ジャッキー映画の中でも最高、そして香港映画史上に残る名勝負と思われる韓国合気道の使い手ウォン・インシク(ブルース・リーの“ドラゴンへの道”では怪しい日本人役を演じていた-セリフ:お~ま~え~が~タン・ロンかぁ)との決闘は、完全に今までとは違う、型にはまらない体当たり的なスタイルになっています。
また、この頃は斬新だった獅子舞によるアクションや、この作品から始まったツイストを加えた倒れ方(香港スピン)など、随所に新しい試みが見られます。扇子や椅子、キセルなど、今ではジャッキーの代名詞ともなった“身近な小道具を使ったアクション”も、このこの作品くらいからが本格的です。ポパイにヒントを得たかと思われるパワーアップ(酔拳がお酒なら、こちらは水煙草-時代背景的にアヘン)もアイデアが効いてます。
師弟出馬/The Young Master/1980年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1981年3月21日東宝東和配給
監督/脚本/武術指導/主演:ジャッキー・チェン 製作:レナード・ホー 脚本:ラウ・ティンチー/トン・ロー/エドワード・タン 音楽:フランキー・チェン
キャスト:シー・キエン/ユン・ピョウ/ティエン・フォン/リリー・リー/ウォン・インシク/ウェイ・ペイ/ジャン・ジン/ポール・ウォン/フェン・メイサン/リー・ホイサン
バトルクリーク・ブロー
ジャッキーのアメリカ進出作品第1弾。しかし、ジャッキーのスタント指導経験が活かされず失敗に。ジャッキーらしいコミカルさもなく、一般的に、あまり評価は良くないようですが、個人的にはそんなに嫌いな映画ではないです。この映画でのローラースケートの経験が、後の「五福星」などに活かされているようです。
殺手壕/Battle Creek Brawl/Big Brawl/1980年/米国/ゴールデン・ハーベスト/1980年9月6日東宝東和配給
監督/脚本:ロバート・クローズ 製作総指揮:レイモンド・チョウ 製作:フレッド・ワイントローブ/テリー・モーズJr. 音楽:ラロ・シフリン
キャスト:ジャッキー・チェン/マコ岩松/クリスチーヌ・ド・ベル/H・B・ハガディ/ホセ・フェラー/ロン・マックス/デビッド・S・シェイナー/ロザリンド・チャオ
キャノンボール
豪華キャスティングのお祭りレース映画。世界中で大ヒットしましたが、香港ではあたらなかったようです。ジャッキーは脇役で、マイケル・ホイとコンビを組んでスバル・レオーネに乗る日本人役。この映画でエンド・クレジットにNG場面を使うことを学び、後の「ドラゴンロード」から活かされます。
小中学生の頃にこの映画を見て、車の免許を取ったら絶対にキャノンボールレースをするんだ!って、安易に思ってました。
砲彈飛車/The Cannonball Run/1980年/米国/ゴールデン・ハーベスト/1981年12月19日東宝東和配給
監督:ハル・ニーダム 製作総指揮:レイモンド・チョウ 脚本:ブロック・イェーツ 製作:アルバート・S・ラディ
キャスト:バート・レイノルズ/ドム・デルイズ/ディーン・マーチン/ジャッキー・チェン/マイケル・ホイ/ロジャー・ムーア/サミー・デイビスJr./ファラ・フォーセット/ピーター・フォンダ/ジャック・イーラム/エイドリアン・バーボー/リック・アヴィルス
ドラゴンロード
ジャッキーが初めてこれまでのクンフー映画からの完全な脱却を目指した映画。サッカーやラグビーなどのスポーツ要素やアスレティック要素を取り入れて、これまでの型にはまった舞踊的なカンフー映画から、よりリアルで体当たり感のあるアクションになっています。
製作当初は「ヤング・マスター/師弟出馬」の続編の「恋するヤング・マスター」として製作されていたらしく、ジャッキーは恋をするスポーツ青年、カンフー版スポコン映画といった感じ。ジャッキー映画ではお馴染みのマースが、相棒役として共演。また、ジャッキー映画定番のNGシーンが始まった映画でもあります。
「ヤング・マスター/師弟出馬」に続き、ウォン・インシクとの決闘が見応え充分!この作品から、闘いの中にアスレティックな要素が盛り込まれるようになりました。
龍少爺/Dragon Lord/1982年/台湾/ゴールデン・ハーベスト/1982年4月10日東宝東和配給
監督/脚本/武術指導/主演:ジャッキー・チェン 脚本:バリーウォン/エドワード・タン 武術指導/出演:ブラッキー・フォン/コリー・ユエン 製作:レイモンド・チョウ 撮影:チェン・チンチュー
キャスト:マース/ウォン・インシク/シドニー/チャーリー・チャン/ティエン・フォン/ポール・チャン/チェン・ホン・イップ/チェン・ヨン・ウェン
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン候補
ドラゴン特攻隊
Amazonの評価が意外と良いのでビックリ。ジャッキーがジミー・ウォングへの借りを返すために出演した映画なので、まず、ジャッキー作品だと思ったら裏切られます。ジミーさんのもとへ豪華出演陣が集まったお祭り映画的な作品です。ジャッキーの出番少なく、ストーリーも何もない、ハチャメチャなおバカぶり。このハチャメチャぶりを、ジミーさん製作の映画だからと、広い心で理解して見れば、評価が上がるのか…。いや、このハチャメチャぶりこそが受けているのか…。
当時、「プロジェクトA」の公開前だったので、間違えて見そうになった記憶が…。
迷〈イ尓〉特攻隊/Fantasy Mission Force/1982年/台湾/正明影業公司(チャンピオン・フィルム)/1983年12月17日東映配給
監督:チュ・イエンピン 撮影:リューシン・ツン 音楽:トウ・ダイウァイ
キャスト:ジャッキー・チェン/ジミー・ウォング/ブリジット・リン/チェン・シャオシュー
伊賀忍法帖
あまり記憶に残っていませんが、実はジャッキーがカメオ出演しているらしいです。残念ながら未だ確認できず…。
Ninja Wars/1982年/日本/角川映画/1982年12月18日東映配給
製作:角川春樹 監督:斎藤光正 脚本:小川英 原作:山田風太郎 撮影:森田富士郎 美術:井川徳道 音楽:横田年昭
キャスト:真田広之/渡辺典子/中尾彬/ストロング小林/佐藤蛾次郎/松橋登/成田三樹夫/美保純/千葉真一
五福星
サモ・ハン、ジャッキー、ユン・ピョウの3人の初共演作品。ジャッキーとユン・ピョウはカメオ出演ですが、スピーディな手合せもあり、特にジャッキーのローラー・チェイス・シーンはかなりかっこいいです。劇場で見た東映版では、陣内孝則の挿入曲「Super Super Star」に心が躍りました!
このへんの作品から、ジャッキー率いる成家班とサモ・ハン率いる洪家班のアクションや撮影の特徴が見て取れます。
奇謀妙計 五福星/Winners and Sinners/Five Lucky Stars/1983年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1984年8月4日東映配給
監督/脚本/主演:サモ・ハン・キンポー 脚本:バリー・ウォン 武術指導/出演:ユン・ピョウ 製作:レイモンド・チョウ
キャスト:ジャッキー・チェン/リチャード・ウン/ジョン・シャム/チャールス・チン/フォン・ツイ・フェン/チェリー・チェン/セシリア・イップ/ジェームス・ティエン/タイ・ポー/パット・ハー/ブラッキー・フォン/ムーン・リー
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン賞(サモ・ハン・キンポー・スタントマン・チーム)/香港電影金像奨助演男優候補(リチャード・ウン)
キャノンボール2
契約期間問題のため、やむなく出演した続編。今度はリチャード・キールと組んで三菱スタリオンに乗ります。この映画からジャッキー映画には三菱自動車が使われるようになり、私も三菱車が好きになりました。
ノリは前作同様、ストーリー云々より、一流の役者が多数出演したお祭り映画。こんな楽しいレースなら参加したいと思える、車好きにはたまらない映画かも?
砲彈飛車Ⅱ/The Cannonball Run Ⅱ/1983年/米国/ゴールデン・ハーベスト/1983年12月17日東宝東和配給
監督/脚本:ハル・ニーダム 製作総指揮:レイモンド・チョウ 脚本:ハーヴィー・ミラー 製作/脚本:アルバート・S・ラディ
キャスト:バート・レイノルズ/ドム・デルイズ/シャーリー・マクレーン/ディーン・マーチン/ジャッキー・チェン/リチャード・キール/テリー・サバラス/サミー・デイビスJr./マリル・ヘナー/フランク・シナトラ/ジャック・イーラム/リカルド・モンタルバン/ヘンリー・シルビア/ドン・ノット
アクションから感動作まで最高潮のジャッキームービー
プロジェクトA
定番中の定番、言わずと知れたジャッキー映画の代表作!一番の魅力は何より、同じ中国戯劇学院で学んだ、ジャッキー、サモ・ハン、ユンピョウの3人が本格的な共演を果たした映画であることです。興行成績も良かったようで、この3人の共演作は全て大成功を収めました。
高さ20~25mほどもある時計塔からの決死のダイブでは、エンドロールのNGシーンを見れば3回ほど撮りなおしていることが分かります。このスタントはハロルド・ロイドの「要人無用」へのオマージュとして有名。ジャッキーはチャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイド、バスター・キートンの「世界の三大喜劇王」に敬意を表していて、彼らへのオマージュは多く、彼らが一流の喜劇俳優だったと同時に一級のアクション俳優だったことが分かります。
ワイヤーで飛び回るアイドルはいても、あんな高さから生身で落下するのは、今後もジャッキー以外には出てこないような気がします。
この頃は、ジャッキーが最も命を懸けていた頃だと思います。自転車でのスタントも有名ですね。これにはコメディ要素も加わって、後のアクション映画に多大な影響を与えたと思われます。その他にも、酒場での乱闘シーンやサモ・ハンとの息の合ったアクションなど、ジャッキー・アクションの集大成です。
A計劃/Project A/1984年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1984年2月25日東宝東和配給
監督/脚本/武術指導/主演:ジャッキー・チェン 製作:レナード・ホー 脚本:エドワード・タン 音楽:マイケル・ライ
キャスト:サモ・ハン・キンポー/ユン・ピョウ/イザベラ・ウォン/ディック・ウェイ/ラウ・ハクスン/クワン・ホイサン/ウー・マ/マース/タイポー/リー・ホイサン/ベニー・ライ/ワン・ファー
受賞:港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン賞(ジャッキー・チェン・スタントマン・チーム)/香港電影金像奨最優秀男優候補(ジャッキー・チェン)
スパルタンX
プロジェクトAに続き、サモ・ハン、ジャッキー、ユン・ピョウの競演。この頃は正直、内容無関係に、この3人が集まれば間違いなく面白い気がしていました。
初の全編スペイン・バルセロナロケを敢行し、ヒロイン役にはミス・スペインのローラ・フォルネルを大抜擢。元マーシャルアーツ・チャンピオンの格闘家ベニー・ユキーデとジャッキーとの決闘は、ジャッキー映画の中でも5本の指に入ると思います。元空手世界チャンピオンのキース・ヴィタリとユン・ピョウとの対決も見どころ。
この映画で、スケボーしたいと思いました。
快餐車/Wheels on Meals/Spartan X/1984年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1984年12月15日東宝東和配給
製作総指揮:レイモンド・チョウ 製作:レナード・ホウ 監督:サモ・ハン・キンポー 脚本:エドワード・タン 撮影:ウォン・ニョクタイ/チョン・イウジョウ 音楽:キース・モリソン
キャスト:ジャッキー・チェン/ユン・ピョウ/サモ・ハン・キンポー/ ローラ・フォルネル/リチャード・ン/ポール・チャン/ベニー・ユキーデ/ペペ・サンチョ/キース・ヴィタリ
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン候補(ジャッキー・チェン・スタントマン・チーム)
香港発活劇エクスプレス 大福星
五福星の続編で、同じくサモ・ハン、ジャッキー、ユン・ピョウのBIG3が共演。ジャッキー、ユン・ピョウの出番が大幅アップなのは嬉しいが…。富士急ハイランドなどで日本ロケが行われ、かなり日本を意識しているのが伺えますが、ハチャメチャな日本描写が炸裂といった感じで、ちょっと空回り気味かも。日本からは女性ボディビル・チャンピオンの西脇美智子さんが出演。
実は、当時ゴールデン・ハーベスト社創設以来No.1の興行成績。
福星高照/My Lucky Stars/1985年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1985年8月10日東映配給
監督/主演/武術指導:サモ・ハン・キンポー 脚本/原作:バリー・ウォン 撮影:ピーター・ゴク 製作:レイモンド・チョウ 製作総指揮:レナード・ホー
キャスト:ジャッキー・チェン/ユンピョウ/リチャード・ウン/エリック・ツァン/シベール・フー/チャールス・チン/西脇美智子/ディック・ウェイ/ラム・チェンイン
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン候補(サモ・ハン・キンポー・スタントマン・チーム)
七福星
大福星の直後に作られた映画で、サモ・ハン、ジャッキー、ユン・ピョウのBIG3がまたも競演。前2作が当たったので勢いで作った感が…。ストーリーは弱いですが、アクションや豪華な共演者に見どころがありです。今や大女優・大俳優となったロザムンド・クワンやアンディ・ラウ、ミシェル・ヨー、倉田保昭らが共演しているのは豪華。
ジャッキーはこの作品で昔のライバル意識が頭をよぎって、サモ・ハンとの衝突が生じることになったとか。
夏日福星/Twinkle,Twinkle,Lucky Stars/My Lucky StarsⅡ/1985年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1987年12月12日東映配給
監督/主演/武術指導:サモ・ハン・キンポー 脚本:バリー・ウォン 撮影:アーサー・ウォン/ジョニー・クウ 製作:レナード・ホー/エリック・ツァン
キャスト:ジャッキー・チェン/リチャード・ウン/エリック・ツァン/シベール・フー/ユン・ピョウ/アンディ・ラウ/倉田保昭/ロザムンド・クワン/フォン・ツイ・フェン/ミシェル・ヨー
新・ポリス・ストーリー
「五福星」のリチャード・ウンとジョン・シャムが刑事役に。念のため、ジャッキーのポリス・ストーリーシリーズや「新ポリス・ストーリー」とは無関係です。「五福星」のすぐ後に撮影されたようで、ノリも同様、出演者もスライドしています。サモ・ハンやジャッキー、ユンピョウも少し出演していますが、ほんのカメオ出演です。
神勇雙嚮炮/Pom Pom/1985年/香港/ゴールデン・ハーベスト/日本劇場未公開
監督:ジョセフ・チョン
キャスト:リチャード・ウン/ジョン・シャム/ディニー・イップ/タイ・ポー/ウー・マ/ディック・ウェイ/ジェームズ・ティエン/フィリップ・チャン/チュン・ファト/マース
ファースト・ミッション
これまでのスタイルとは違い、非常にドラマ性を重視した感動作品。兄弟間の関係を描いたこの映画は、欧米ではマーシャル・アーツ版レインマンと呼ばれました(ただし、レインマンよりも3年前の作品です)。
ジャッキーはこの映画で主題歌「チャイナブルー/CHINA BLUE」「東京サタデーナイト/TOKYO SATURDAY NIGHT」を日本語で歌っています。前者はなんと今野雄二氏と高中正義氏による楽曲で、後者は美樹克彦氏の楽曲です。
興行成績は良くなかったようですが、非常に良質な内容の映画だと思います。私は涙無しには見れません。なかなか叶いませんでしたが、この感動作がBlu-ray及びDVD化されて非常に嬉しいです。
龍的心/Heart of Dragon/First Mission/1985年/ボーホー・フィルム/1985年9月14日松竹富士配給
監督:サモ・ハン・キンポー 脚本:バリー・ウォン 武術指導:ユン・ピョウ 撮影:アーサー・ウォン
キャスト:ジャッキー・チェン/サモ・ハン・キンポー/エミリー・チュウ/ディック・ウェイ
受賞:香港電影ベスト・ソング賞/香港電影金像奨最優秀男優候補(ジャッキー・チェン)/香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン候補(サモ・ハン・キンポー・スタントマン・チーム)/香港電影金像奨ベスト・ミュージック候補(ラム・マンイー)
ポリス・ストーリー/香港国際警察
ジャッキー自身最も気に入っているアクション映画の最高傑作。冒頭の銃撃戦から、バラックを下りながらの豪快なカーチェイス、傘を使ったバスでのスタント、ショッピングモールでの電飾を利用して70フィートのダイブなど、しびれるアクションが満載!
これらのアクションによりジャッキーは両手に大やけどを負い、4人が切り傷や骨折を負いました。
この映画で共演したマギー・チャンとは親友となり、トン・ピョウとも初共演、2人はその後も度々共演する事になります。
この映画はその後のハリウッド映画のアクションにも多大な影響を与えました。
DVDのデジタル・リマスター版では、ラストのカット編集が変わっているのが残念。オリジナルのほうが良かったです。
警察故事/Police Story/1985年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1985年12月14日東宝東和配給
製作総指揮:レイモンド・チョウ 製作:レナード・ホー/ウィリー・チェン 監督/脚本/原案/主演:ジャッキー・チェン 脚本:エドワード・タン 撮影:チョン・イウジョウ 美術:オリヴァー・ウォン 音楽:マイケル・ライ
キャスト:マギー・チャン/ブリジット・リン/トン・ピョウ/チュア・ユエン/ベン・ラム/マース/フォン・ハクオン
受賞:香港電影金像奨最優秀映画賞/香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン賞(ジャッキー・チェン・スタントマン・チーム)/香港電影金像奨最優秀男優候補(ジャッキー・チェン)/香港電影金像奨最優秀監督賞(ジャッキー・チェン)/香港電影金像奨最優秀女優賞(ブリジット・リン)/電影金像奨最優秀撮影賞(チャン・ユーチョー)/電影金像奨最優秀編集賞(チャン・ユーチュン)
サンダーアーム/龍兄虎弟
スピルバーグの「レイダース/失われたアーク」への敬意を表し、意識して作られました。当時人気だったポップ・シンガーのアラン・タム、「七福星」などで共演しているのロザムンド・クワン、「スパルタンX」のローラ・フォルネルが出演しています。
今では有名な話ですが、ユーゴスラビアロケ中、木へ飛び移るシーンで頭部に穴が開くほどの重症を負い、その穴を隠すために冒頭では短髪だったジャッキーの髪型が仕方なく途中から長髪に変わります。
格闘シーン、気球への落下、カーチェイスなど、どれもノリが良くてかっこいいです。愛車は三菱自動車の特別製。アラン・タムが歌う主題歌「暴風女神LORELEI」のノリもシーンに合ってます。この映画のジャッキーはかっこよくてかなり気に入っています。ガムの食べ方を真似た人も多いのでは。80年代香港興行成績第3位。
龍兄虎弟/Armour of God/1986年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1986年8月16日東宝東和配給
製作総指揮:レイモンド・チョウ 監督/主演:ジャッキー・チェン 脚本:バリー・ウォン/エドワード・タン/ロー・キン 撮影:ボブ・トンプソン/ピーター・ニョール 音楽:マイケル・ライ
キャスト:アラン・タム/ロザムンド・クワン/ローラ・フォルネル/ケン・ボイル
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン候補(ジャッキー・チェン・スタントマン・チーム)
クラッシュ・エンジェルス 失われたダイヤモンド
ジャッキー初プロデュース作品。ジャッキー映画にお馴染みのマース主演で、カリーナ・ラウ初主演作品。ジャッキーはオープニングで少しだけ出演。
〈才丑〉計雜牌軍/Noughty Boys/1986年/香港/ゴールデン・ハーベスト/日本劇場未公開
キャスト:マース/カリーナ・ラウ
監督:チン・シン・ワイ 脚本:エドワード・タン 製作:ジャッキー・チェン
キャスト:マース/カリーナ・ラウ/ベティ・ウェイ/タイ・ポー/リッキー・ホイ/クラレンス・フォ
プロジェクトA2/史上最大の標的
香港政府全面協力により全島が植民地時代のセットに成り代わりました。キャスティングの変更、サモ・ハンやユン・ピョウが共演していないなど、続編ですが前作のイメージはあまり無いです。しかし共演女優陣は豪華で、相変わらずアクションも素晴らしいです。
前作は時計塔からのダイブなど大掛かりな“見せ場”アクションのイメージでしたが、この映画は“小気味良い”小技の連続といった感じ。コメディ要素も多いです。
映画の内容から、邦題の「史上最大の標的」はいただけないですが、革命家・清朝側・英国植民地政策側・海賊と多彩な出演者の絡み合いが印象的です。個人的には中盤のチャーリー・チャンらとの格闘シーンが気に入っています。ラストの壁が倒れてくるスタントは「キートンの蒸気船」へのオマージュ。
A計劃續集/Project A Ⅱ/1987年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1987年7月25日東宝東和配給
監督/武術指導/主演:ジャッキー・チェン 製作:レナード・ホー 製作/脚本:エドワード・タン 音楽:マイケル・ライ
キャスト:マギー・チャン/デヴィッド・ラム/ロザムンド・クアン/カリーナ・ラウ/マース/トン・ピョウ/タイ・ポー/レジーナ・ケント/チャーリー・チャン/リッキー・ホイ/イザベラ・ウォン
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン賞(ジャッキー・チェン・スタントマン・チーム)/電影金像奨最優秀編集候補(チャン・ユーチュン)
サイクロンZ
サモ・ハン、ジャッキー、ユン・ピョウのBIG3が主演した第3作。そして今のところ最後の3人共演作。この映画の完成後、3人は別々の道を歩む事に。また、3人と同じ元七小福のユン・ワーが悪役で出演し、「スパルタンX」で名勝負を繰り広げたベニー・ユキーデが2度目の対決。
ジャッキーは珍しく知的な弁護士役で、船内での格闘ではカウンターテーブルを使ってくるりと体を回転させるなどの面白いアクションが見れます。BIG3の三つ巴戦を見れる唯一の映画でもあり、サモ・ハンのホロリとさせる場面もあります(私だけ?)。ちなみにベニー・ユキーデ戦での最後のとどめの蹴りはジャッキー本人ではないのが残念。スタントマンを使わないことを売りにしているジャッキーですが、ジャッキー以外の監督による作品では、ジャッキーの都合や監督の意向により、稀にスタントダブルを使うことがあるようです。
飛龍猛將/Dragons Forever/Cyclone Z/Three Brothers/1987年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1988年4月23日東宝東和配給
製作総指揮:レイモンド・チョウ/レナード・ホウ 製作:ジャッキー・チェン/コーリー・ユエン 監督:サモ・ハン・キンポー 脚本:シュートゥー・チュクホン/ゴードン・チャン 撮影:ジミー・リョン 音楽:ジェームズ・ウォン
キャスト:ジャッキー・チェン/サモ・ハン・キンポー/ユン・ピョウ/デニー・イップ/ポーリン・ヤン/クリスタル・クォック/ユン・ワー
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン候補(サモ・ハン・キンポー・スタントマン・チーム)
ポリス・ストーリー2 九龍の眼/クーロンズ・アイ
ポリス・ストーリーの続編。前作には及ばずとも、命懸けの素晴らしい格闘とスタントは健在です。敵は爆弾犯なので香港ならではの派手な爆破シーンが印象的。
前作の敵役が刑務所から釈放されて関わってくるなど、前作とのつながりを感じますが、扱いは完全に脇。また、捜査のために特殊能力を持つ部下を数名従えるなど、ストーリーに変化をつけていますが、それが逆にストーリーの大筋を分散させているようにも思います。しかしながら、レストランや公園など、それに関連するアクションはアクロバティックで見応えあります!
マギー・チャンやトン・ピョウが前作に引き続き共演していて、マギー・チャンはラスト撮影中に頭部に怪我を負いました
キック・スタイルの“アパアパ”とのラスト・バウトも印象に残りますが、走るバスの屋根からビルの窓ガラスに飛び込むシーンでは、予定していた窓の隣の本物のガラス窓に突っ込んでしまったとか。相変わらず命がけです。
警察故事續集/Police Story Ⅱ/1988年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1988年8月13日東宝東和配給
製作:レイモンド・チョウ/レナード・ホー/エドワード・タン 監督/主演/スタント・コーディネーター:ジャッキー・チェン 脚本:エドワード・タン 撮影:チョウ・イウゾウ/リー・ヤウトン 音楽:マイケル・ライ
キャスト:マギー・チャン/エミリー・チュウ/チュー・ヤン/トン・ピョウ/ラム・クォックハン
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン賞(ジャッキー・チェン・スタントマン・チーム)
奇蹟/ミラクル
このジャッキー映画は、私にとっては、何度見ても泣ける感動作品です。フランク・キャプラの「一日だけの淑女」「ポケット一杯の幸福」のリメイク作品であり、香港で数々の賞を受賞しているこの映画は、ジャッキー自身最も気にいっている作品です。
アクションだけでなく、しっかりしたストーリーがあり、役者さんの演技も最高です。とくにウー・マさんの表情が格別!ジャッキーと故アニタ・ムイとの初共演作品になり、彼女の歌も堪能できます。彼女が豪華ホテル内を見て回りながら歩くシーンがありますが、1カット長回しで撮ったカメラワークが素晴らしいです。
アクションでは帽子を使った小技がかっこよくてとても印象的です。
6400万HKドルの製作費と9ヶ月もの月日をかけて製作されたゴールデン・ハーベスト社設立20周年記念作品。この映画には根っからの「悪」はいないのです。爽快な気持ちの良い涙が流せる映画です。冒頭にユンピョウがちょこっと出てるのも見逃せない?!
奇蹟/Miracles:Mr.Canton and Lady Rose/1989年/香港/ゴールデン・ハーベスト/1989年8月12日東宝東和配給
監督/脚本/武術指導/主演:ジャッキー・チェン 脚本:エドワード・タン 編集:チョン・イウチョン 美術:エディー・マ 製作:レナード・ホー
キャスト:アニタ・ムイ/グロリア・イップ/グァ・アーレイ/ウー・マ/トン・ピョウ/リチャード・ウン/ビリー・ロウ/ロー・リエ/コー・シュンハン/リッキー・ホイ/ユン・ピョウ
受賞:香港電影金像奨ベスト・アクション・デザイン賞(ジャッキー・チェン・スタントマン・チーム)/香港電影金像奨最優秀男優候補(ジャッキー・チェン)/電影金像奨最優秀編集賞(チャン・ユーチュン)/電影金像奨最優秀美術監督賞(エディー・マ)
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