“ジャッキー・チェン”という名を借りた問題作。こんな作品は見ないように!(??)
醒拳(クレージーモンキー 大笑拳)
ジャッキー主演と偽った、俗に言うバッタモン映画の代表格。それが日本でも普通に劇場公開されているのが凄いです。当時のジャッキー・チェン人気がいかに凄かったかが分かります。
ジャッキーが出演しているのは数シーンで、あとは「笑拳」や「拳精」の未使用カットと思われるものやジャッキーの代役の俳優を使った”つぎはぎ映画”。「笑拳」については、使用カットまで普通に使っています。つぎはぎ部分は色合いが違うので違和感ありありです。
代役については、変装と題して顔を分からなくしていたり、カメラアングルや木の葉で顔が見えないようにして、うっかりすると分からないかも知れませんが、動きのキレや筋肉の付き方(筋の出方)でジャッキーでないことは分かります。とはいえ、出演者など、「笑拳」との共通部分も多く、ある意味、「笑拳」の別バージョン的な見方も出来るかも。
Amazonでの評価が意外と良いのでビックリですが、つぎはぎ部分の違和感と偽ジャッキーは別とすると、確かに、内容的には見れない映画でもないです。この映画で最も可愛そうなのは、ジャッキーの代役として顔も出ない名もない俳優さんかも知れないですね…。
「笑拳」を最後にジャッキーとロー・ウェイとの契約は一旦終了していましたが、当時のジャッキー人気の高さゆえ、ロー・ウェイは再度契約を持ちかけました。これまでの義理もあり、若く経験の浅いジャッキーは詐欺まがいの空白の契約書に軽はずみにもサインし、この「醒拳」の契約を結んでしまったようです。
しかし、マネージャーのウィリー・チェンは様々な条件から、ジャッキーにふさわしいのはゴールデン・ハーベストだと判断し、ジャッキーはこの「醒拳」の撮影時にゴールデン・ハーベストとも二重の契約を結ぶことになります。ジャッキーは「醒拳」の数シーンを撮影した後、表向きにはドタキャン・失踪した形で、ゴールデン・ハーベストで「ヤング・マスター/師弟出馬」を撮り始めます。
当然、ロー・ウェイのほうも黙っているはずはなく、香港映画界に常に付いてまわると言われる黒社会のマフィア「トライアッズ」を使って圧力をかけ、ジャッキーはトライアッズの監視の下、「ヤング・マスター/師弟出馬」と「醒拳」の撮影現場を往復することになります。
その間、「ファイナル・ドラゴン」での共演者でその筋に強いジミー・ウォング氏による仲介を試みますがうまくいかず、最終的にはゴールデン・ハーベストがロー・ウェイとジャッキーとの契約を買い取る形で終わらせたようです。その後、ジャッキーはハリウッドに挑戦することになります。「醒拳」の権利はロー・ウェイに残り、彼の意地で完成させた駄作といえるでしょう。
龍騰虎躍/Fearless Hyena Ⅱ/1980年/香港/羅維影業公司(ロー・ウェイ・カンパニー)/1986年3月8日東映配給
製作総指揮:ロー・ウェイ 製作:シュー・リーホァ 監督:チェン・チュアン
キャスト:ジャッキー・チェン/ディーン・セキ/ヤン・サイクン/クワン・ヤンマン/ジェームズ・ティエン/チェン・ホイロウ/オースティン・ウァイ/ホン・グウォクチョイ/リン・アウチュー
ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳
なぜかAmazonのレビューの評価が高い珍作(汗)
どちらにしても、映画としては、「醒拳」同様、他作品のシーンを入れ込んだ”ツギハギ映画”。「タイガー・プロジェクト」からの引用やら、「酔拳」の型シーンもそのまま出てきます。なので、ジャッキーのシーンはこれら他作品のもので、あとは代役。別映画のシーンを使っているので、画質や遠近感やらが、当然、違和感ありありです。
本当の主役とも言える代役さんの顔は映らないアングルになってたり、目隠ししたり…。そこまでしてでもジャッキー作品と名づけると売れた時代だったのかと思います。
別タイトル「ビッグ・マスター」もあり。
刀手怪招/Master with Crack Fingers/1978年/スーン・リー・フィルム/日本劇場未公開
監督:チン・シン 脚本:ユー・ピン 製作総指揮:ラオ・ニー 製作:リー・ロンクァン 撮影:イン・ファトサム/チョン・チーケン 衣装:イン・ダト
キャスト:ジャッキー・チェン/ユエン・シャオティエン/ディーン・セキ/ホン・グウォクチョイ/ユン・ピョウ/チン・ユエサン/ティエン・ファン/クアン・チュン/マー・キムトン/チェン・ハンリー/ガム・グワン
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